生活習慣病の原因となる「慢性炎症」肥満とも大きく関連していた!?
体内で炎症が起きると本来一過性のもので治ります。
一方、慢性炎症とは体内で小さな炎症がじわじわと持続している状態のことを言います。
慢性炎症は、体内のどこにでも起こりうるもので、アレルギーや生活習慣病の原因になったり大きな病気のきっかけになったりします。
様々な病気の引き金となるのです。
また、自覚症状がないため「サイレントキラー」と表現されることもあります。
最近は、慢性炎症とは関係ないと思われていた病気も、研究によって慢性炎症と関係があることがわかってきました。
健康な体づくりは、日頃から慢性炎症対策を意識することが大事なポイントです。
ぜひこの記事を読んで慢性炎症について理解し、普段の生活に慢性炎症を予防できるライフスタイルを取り入れてみましょう。
体内で炎症が起きているってどういうこと?
そもそも体内では、なぜ炎症が起きてしまうのでしょうか。
炎症自体は、本来悪いものではありませんが、働きによっては体に悪影響を及ぼします。
炎症には大きく分けて2つに分けられます。
①急性炎症
②慢性炎症
ではそれぞれ具体的に説明します。
①急性炎症
急性炎症は、体を守る防御反応です。
けがをしたときや、体に侵入したウイルスや細菌と白血球が戦うことで起きる現象のことを言います。
体内に入ってきた異物を排除しようとするものなので正常な働きです。
赤くなったり熱を出したり、腫れや痛みなどを伴いますが、通常は数日から1週間程度で治ることが多いです。
②慢性炎症
慢性炎症は軽度の炎症がじわじわと長期間続く状態のことで、必ずしもウイルスや細菌が侵入することで起きるわけではありません。
炎症は本来一過性で治るものですが、炎症を起こす物質の種類によっては炎症反応に対してブレーキをかける機能が十分に働かなくなり、炎症がなかなか治らないため慢性炎症につながります。
慢性炎症は、自覚症状があまりなく、症状があっても軽いものが多いため見つかりにくいですが、病気の引き金になったり病状を悪化させたりします。
慢性炎症はあらゆる臓器や組織に起こり、他の臓器に飛び火してしまうこともあります。
【急性炎症と慢性炎症の違い】
慢性炎症によって起こる可能性がある病気は...
慢性炎症が原因で起きてしまう可能性がある病気は、上記の図のようなものが挙げられます。
慢性炎症は対策しないまま放置していると、生活習慣病や心の病気など様々な大きい病気につながる可能性があります。
日頃から健康な体づくりのために慢性炎症の予防をすることがとても重要ということが分かりますね。
では次に慢性炎症の原因について説明します。
慢性炎症の詳しい原因について
慢性炎症の原因はまだ十分に明らかにされていませんが、慢性炎症につながる様々な要因の中で、肥満と腸内フローラの乱れが影響していると言われています。
では慢性炎症の仕組みについて説明します。
■腸内フローラの乱れ
慢性炎症につながる要因は色々ありますが、体内の慢性炎症を促進させる要因の一つとして腸内フローラの乱れがあります。
腸内フローラとは、腸内に住んでいる様々な種類の腸内細菌の集まりのことを言います。
腸内フローラのバランスが乱れると血液中に体に悪影響を及ぼす腸内細菌が移行して、炎症を促進させる物質である炎症性サイトカインが増加します。
炎症性サイトカインとは、免疫に関係していて体内のウイルスや細菌が侵入してきた時にそれらを攻撃して体を守る働きがあります。
慢性的に炎症が起きると、本来は体を守る働きがある炎症性サイトカインが増加して免疫システムが過剰になってしまい、正常な細胞も攻撃するようになります。
これが全身で軽度な炎症を持続的に引き起こすきっかけになるのです。
■肥満
慢性炎症につながる要因の中の一つとして肥満も挙げられます。
体内に脂肪が蓄積されると一つ一つの脂肪細胞が大きく膨れていきます。
大きく膨れて異常な状態となった脂肪細胞から、脂肪分解のために放出された物質に反応して白血球たちが集まってきます。
白血球が戦うことで炎症性サイトカインが放出されます。
炎症性サイトカインが放出されることでさらに白血球が集まってきて、急性炎症と同じような状態になります。
急性炎症はウイルスや細菌たちを排除できたら治りますが、脂肪細胞はすぐに取り除くことはできないので炎症がずっと続くことになり慢性炎症へとつながります。
また、炎症性サイトカインによって脂肪細胞に含まれている遊離脂肪酸という物質が放出されます。
遊離脂肪酸は血流に乗って全身に運ばれてさらに炎症を促すので、全身の様々なところで炎症が起きてしまいます。
これが慢性炎症につながるのです。
慢性炎症を防ぐ方法
【慢性炎症を防ぐ食生活】
◆食物繊維や発酵食品を積極的に取り入れる
腸にいい食材を取り入れて腸内フローラを整えることで、体内の炎症を防ぐことができます。
現代人は食物繊維や発酵食品の摂取量が少ないと言われているので、積極的に摂取しておきましょう。
◆不飽和脂肪酸を摂取する
魚などに含まれる不飽和脂肪酸は、細胞をしなやかにする効果や炎症を抑制する働きがあります。
普段の食事で不飽和脂肪酸を取り入れた食事メニューを意識してみましょう。
◆ポリフェノールを摂取する
抗酸化作用のあるポリフェノールは、生活習慣病予防効果がある成分です。
緑茶やコーヒー、りんごや豆類などに含まれています。
【適度な運動】
運動は慢性炎症を防ぐ効果があるという研究結果が出ていて、活性化しすぎた炎症性サイトカインの働きを抑制する働きがあります。
肥満は、慢性炎症を促進させてしまい生活習慣病につながる要因の一つなので、日頃から体を動かす習慣をつけておきましょう。
【慢性炎症予防のために控えた方がいい習慣やライフスタイル】
◆喫煙
◆過度なアルコール摂取
◆揚げ物などの脂質を摂りすぎ
◆暴飲暴食
◆運動不足
◆ストレスを溜め込む
慢性炎症は防げる!予防策を今日から取り入れよう
今回は慢性炎症の仕組みについてや予防法などを紹介しました。
慢性炎症は気づかないうちに進行して、生命に関わる病気につながるリスクがあります。
慢性炎症を日頃から対策しておくことで様々な病気を防ぐことができるので、まずは慢性炎症につながるライフスタイルや習慣を控えることからはじめてみましょう。