遺伝子組み換え食品って何?現状や問題点を詳しく解説
遺伝子組み換え食品は、スーパーによく並んでいる身近な食べ物に使われていますが、食べ続けることでの安全性はまだはっきり分かっていないことが多く、環境への影響も問題視されています。
日本は遺伝子組み換え作物の流通規制が非常に緩いため、他の先進国と比べて遺伝子組み換え食品を摂取する機会はとても多いです。
しかし、遺伝子組み換え食品がどのようなものか理解している日本人はとても少ないように思います。
この記事では遺伝子組み換え食品についてや問題視されていること、日本の現状や安全性など詳しく解説します。
この記事が、普段食材を購入する時にお役に立つことができたらとても嬉しいです。
遺伝子組み換え食品って何?
遺伝子組み換え食品とは、作物に対して他の生物の細胞から抽出した遺伝子を組み換えて新しい性質も持った作物のことを言います。
遺伝子組み換え技術によって、特定の害虫に強い作物や栄養素を上げる効果など新しい特性を加えた作物ができます。
必要な遺伝子だけを入れて作るので、効率的に理想の品種を作ることができます。
品種改良と同じ?と思う人もいるかもしれませんが、品種改良と遺伝子組み換えは違います。
品種改良の場合は、例えば甘みが強くて病気に強い作物を作りたい場合、甘みが強い品種と病気に強い品種を掛け合わせて何度も交配させます。
何度も交配しているので様々な性質の個体ができ、その中で理想としている甘みが強くて病気に強い品種を選び、またさらに交配させて安定した種を作り出します。
品種改良は何度も交配させて種を作るので、遺伝子組み換え作物に比べると膨大な時間とコストがかかります。
なぜ遺伝子組み換え食品を作るの?メリットについて
遺伝子組み換え食品を作るメリットは、大きく分けて2つあります。
①農作業の負担が減る
②食糧危機対策になる
具体的に説明します。
①農作業の負担が減る
遺伝子組み換え技術で作られた除草剤耐性があるものや害虫に強い性質の作物を使うことで、生産者の負担や栽培するにあたっての農薬使用量を下げることができ、
収穫量をアップさせることで、安定的に作物を供給することができます。
なお、現在日本が遺伝子組み換え食品の流通を認めているものは下記の9つの作物です。
②食糧危機対策になる
近年、気候変動や人口増加による食糧危機が世界で懸念されています。
しかし遺伝子組み換え技術を使えば、干ばつや天然資源の枯渇などの影響を緩和させることができたり、食糧を増やしていくことも可能です。
農薬の使用量を減らすことができれば、生態系の保全などにつながったり水質の浄化が見込めます。
このように、一見メリットが多く感じられる遺伝子組み換え食品ですが、その安全性については、まだ疑問の声も多いです。
では次に、遺伝子組み換え食品が抱えている問題やデメリットについて紹介します。
遺伝子組み換え食品が抱えている問題やデメリット
現在、遺伝子組み換え食品を摂取し続けることで体に影響は本当にないのか、今までなかった遺伝子をもつ作物が自然界へ拡大してしまうことで環境への影響は大丈夫なのか、など不安要素が多くあります。
現在、遺伝子組み換えが抱えている問題やデメリットはなんでしょうか。
以下3点解説します。
①食品としての安全性が不十分
②遺伝子組み換え食品の表示方法
③環境や生物の生態系を壊す可能性
①食品としての安全性が不十分
遺伝子組み換え食品の安全性についての評価は、まだ不十分な部分が多いです。
日本で出回っている遺伝子組み換え食品は、除草剤耐性や害虫に強い性質を持っているものがほとんどです。
人間は虫と消化の仕組みは違うため安全性に問題はないと言われていますが、除草剤に強い作物、害虫が死んでしまう作物を食べ続けることでの安全性は分かっていません。
厚生労働省はホームページでは、遺伝子組み換え食品に対して厳しい審査を行っており、安全なものだけ流通していると発表していますが、遺伝子組み換え食品を長期で摂取した場合の安全性について懸念の声が多く、グレーという見方になっています。
また、遺伝子組み換え食品に対して流通規制が厳しいヨーロッパでは、遺伝子組み換え食品の問題点をいくつか主張しています。
ヨーロッパだけではなく、アメリカでも除草剤耐性や害虫に強い性質を持った遺伝子組み換え食品の安全性に消費者が不信感を抱き、
子供たちが摂取しても本当に大丈夫なのか不透明な部分も多いため、遺伝子組み換え食品の使用に対して何度も反対運動が起きています。
また、アレルギーを持つ子供たちが増えている原因の一つとして、遺伝子組み換え食品の使用を主張し、問題点を提議している団体もあります。
②遺伝子組み換え食品の表示方法
9種の作物とそれを原料に使った加工食品には遺伝子組み換え食品として表示義務がありますが、
加工食品については、原材料表示の上位4位以降と加工食品全体で遺伝子組み換え作物の混入が5%未満であれば表示義務がありません。
例えば大豆だと、遺伝子組み換え食品が5%以下混入した場合、表示は「大豆(分別生産流通管理済)」や「大豆(遺伝子組み換え混入防止管理済)」などと表示して販売することが可能です。
また、醤油や大豆油は組み換えた遺伝子やそれに由来するタンパク質が検出されないものは表示義務がありません。
そのため納豆や豆腐、醤油や味噌など大豆を原料としている食品やとうもろこしを使ったコーン油やコーンスターチなどの加工食品を通して、私たちは遺伝子組み換え食品を知らないうちに体に入れてしまっていることが多いです。
現状の日本では、表示されない遺伝子組み換え原料が多く存在しているのです。
また、意外と盲点なのがお肉や卵です。
畜産の餌に遺伝子組み換え作物のとうもろこしが使用されていた場合、表示義務はないので、普段遺伝子組み換え食品を避けていても気づかず食べてしまっている、と言う人も多いと思います。
このような表示ルールをよく知らずに購入している消費者は多いので、知らないうちに頻繁に遺伝子組み換え食品を摂取してしまっていることが多いです。
遺伝子組み換え食品の表示で、日本と諸外国との比較
③環境や生物の生態系を壊す可能性
遺伝子組み換え食品が自然界で自生し、他の植物との交配によってさらに広がっていくのではないかということが問題になっています。
現在日本では、輸入港付近で遺伝子組み換え食品の自生が報告されています。
また、日本に出回っている除草剤耐性や害虫に強い性質も持つ遺伝子組み換え作物が自然界で増えていくことで、土壌への影響は大丈夫なのでしょうか。
これからも遺伝子組み換え食品の自生が増えていくことを考えると、何かしら対策をしていかなければいけません。
遺伝子組み換え食品が自然界に当たり前のように自生して広がっていくのは時間の問題だと言われています。
遺伝子組み換え食品との付き合い方
将来、今よりもさらに遺伝子組み換え食品の流通は増えていくと言われている中で、私たちはどのように遺伝子組み換え食品と付き合っていくかが大切になってきます。
遺伝子組み換え食品を完全に避けるのは難しく、これからも遺伝子組み換え食品は増えていくと言われている日本で消費者側ができることは、日本での遺伝子組み換え食品の現状を理解しつつ、買い物をするときにどういう食材や商品を選ぶかということです。
⚫「遺伝子組み換えでない」と表示してくれているものをできるだけ選ぶようにする
⚫遺伝子組み換え食品を扱っていない商品を揃えているネットスーパーを利用する
⚫肉や卵は、餌の情報を開示してくれているところから選ぶようにする
など食材を購入する際は、様々な対策をしていく必要があります。
次世代を生きる人たちのため、今後の日本の食の安全性を守るためにも、日頃から「買い物は投票」だということを忘れず生活していきたいですね。