誰にでも起こりうる「産後うつ」の原因や対策を解説
産後うつは、出産後の女性にとってつらい体験となってしまいますが、発症するメカニズムはまだ完全には解明されていません。
要因の一つとして、女性ホルモンの急激な変化が関係していることはわかっています。
また、出産後のライフスタイルの変化によるストレスや、慣れない育児の不安も大きく影響していると言われています。
しかし、妊娠中や出産後に適切な予防や対策をすることで、産後うつを防いだり症状を緩和させることは可能です。
ぜひコラムを最後まで読んで、産後うつの予防や対策に役立ててみてください。
産後うつとは...?症状と影響
産後うつは、出産後の女性の約10%〜15%が発症すると言われています。
産後うつの早期発見のために病院でチェックリストを用いたり、「エジンバラ」という産後うつの診断ツールを使うこともありますが、
最終的に産後うつかどうか判断するには、精神科医の診断が必要となります。
なお、産後うつと混同されがちなのがマタニティーブルーです。
マタニティーブルーは、出産後の女性の約30%〜50%が経験し、気分の浮き沈みが激しくなったり、ふいに涙が止まらなくなったりするなどの症状がみられます。
産後うつとマタニティーブルーの大きな違いは、症状が持続する期間です。
一般的には、マタニティーブルーは出産後数日から1週間程度で自然に改善されますが、産後うつは数ヶ月以上続くケースが多い点が特徴です。
【産後うつとマタニティーブルーの違い】
産後うつの発症には、女性ホルモンの急激な変化だけではなく、個人の性格や育児環境なども大きく影響します。
産後うつと女性ホルモンの関係
女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」というホルモンがあります。
これらのホルモンは、女性の体の様々な機能を調節する重要な役割を果たしています。
【ホルモンの変動による影響】
妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンの数値が高くなりますが、出産後は急激に低下します。
この急激なホルモンの変動が、精神面に大きな影響を与え、産後うつを引き起こす一因となるのです。
最近の調査では、下記の図のように特にプロゲステロンの急激な低下が産後うつ発症と関係があることがわかってきています。
参考元:マイナビニュース 産後うつは出産による血中性ホルモン量の低下が原因か?
妊娠中から産後にできる3つの対策を紹介
続いて、妊娠中から産後までできる産後うつ対策を3つ紹介します。
1. メンタルケア
妊娠中や産後は、ホルモンバランスの変化もあり、不安になったりストレスを感じやすい時期です。
一人で抱え込まずリラックスできる時間を積極的に確保しましょう。
妊娠中から家事や仕事を完璧にこなそうとして、思ったように体が動かず自分を責めてしまう人もいますが、
リラックスして過ごすためにも、適度に体を休めるようにしてください。
また、出産後はストレス発散のためにも、無理をしない程度に体を動かすと良いでしょう。
2. ホルモンバランスを整える生活習慣
妊娠中や産後は、必要なエネルギー量が増えるため、摂取カロリーも多くなりがちです。
ただし、甘い物の過剰摂取や不規則な食生活はホルモンバランスの乱れにつながります。
そのため、カロリーオーバーにならないよう食事量に気をつけ、バランスの良い食事を規則正しく摂るように意識してみてください。
また、ホルモンバランスを整えるためには質の高い睡眠をとることも大切です。
安定期に入ったら無理のない範囲で定期的に体を動かして、夜はしっかりと眠れる習慣をつくると良いでしょう。
3. 家族や周囲のサポート
産後は特に、慣れない育児やライフスタイルの変化で不安を感じやすい時期なので、家族など周囲に頼ることが非常に大切です。
もし家族に頼れない場合は、自治体が運営しているサポートを利用することも検討してみてください。
数時間でも赤ちゃんを預けたり、家事代行を利用することで心身ともに休む時間ができ、産後うつの発症や重症化の予防になります。
利用できるサポートは地域によっても異なるので、事前に調べておくことをおすすめします。
適切な対策を知って産後うつを防ぎましょう
産後うつは、出産後の女性は誰にでも起こりうることですが、適切な対策を行うことで予防や緩和が可能です。
妊娠や出産によって起こる急激なホルモンバランスの変化により、心身へ様々な影響が生じるので、家族や周囲に頼り、自分自身を大切にすることがとても重要になります。
今回紹介した対策を取り入れて、健康で幸せな育児ライフを送りましょう。