小麦が体に悪いと言われるのはなぜ?グルテンが体に及ぼす影響を解説
現代の食生活は小麦製品であふれています。「グルテン」や「グルテンフリー」という言葉をよく耳にするようになりましたが、
同時に小麦は体に悪いのでは?という疑問を持ち始めた人も多いのではないでしょうか。
このコラムでは、小麦の摂取が体にもたらす影響や、その対策について解説していきますので、ぜひお役立ていただければと思います。
小麦が体に悪いと言われるのはなぜ?
小麦が体に悪いとされる主な理由は小麦の中に含まれるグルテンです。
グルテンは小麦粉に含まれるグリアジンとグルテニンという2種類のたんぱく質が結びついてできたもので、水を混ぜてこねる事で形成されます。
主にパンやパスタなどの食品の粘りや弾力を生み出す役割を果たします。
原因不明の不調はグルテンが原因かも?
グルテンは様々な健康問題を引き起こすと言われています。特に腸に悪影響を及ぼす可能性が指摘され、
食べすぎるとお腹の調子が悪い、胃もたれする、倦怠感があるなど、これらの症状は実はグルテンが原因の場合があります。
グルテンの過剰摂取によって引き起こされる影響は以下のものがあります。
①腸もれ(リーキーガット症候群)
グルテンは消化されにくく、その粘着性から、腸壁にベタっと張りついてしまいます。
それが原因で腸内の粘膜が傷つき、時には穴が空いてしまうこともあるのです。この症状を腸もれ(リーキーガット)と言います。
リーキーガットは腸に空いた穴から、細菌や老廃物、有害物質が血管内に漏れ出し、便秘や下痢、偏頭痛、肌荒れや炎症など、様々な不調を引き起こしてしまうのです。
②血糖値の急上昇
グルテンを多く含む小麦製品は血糖値を急上昇させます。これは、小麦に「アミロペクチンA」と呼ばれる成分が含まれているからです。
この成分が血糖値を急上昇させ、過剰なインスリン分泌を引き起こし、肥満や糖尿病につながる可能性があります。
③依存性がある
グルテンはニコチンや麻薬のような中毒性があると考えられています。
長期間摂取し続けると、体がグルテンを含む食品を食べないと落ち着かない状態になったり、「また食べたい」という気持ちが抑えられず過剰な摂取につながります。
その理由は、グルテンがモルヒネに似たアミノ酸配列を持っているため、
グルテンを分解するときに体がモルヒネやアヘンなどの薬物を摂取したときと同じような反応をしてしまうのです。
グルテンが引き起こす食事療法が必要な症状・疾患
グルテンはアレルギーの原因にもなり、食事療法が必要な場合もあります。ここでは代表的なトラブルや関連病を3つ紹介します。
1.小麦アレルギー
小麦アレルギーは、免疫系が小麦のタンパク質に反応し、過剰な免疫反応を引き起こす状態です。
症状には、皮膚の発疹、じんましん、腹痛や下痢、消化器系の不快感などが含まれます。
また呼吸困難やアナフィラキシーショックを起こす事もあります。
症状にもよりますが、ほとんどの場合は、小麦を制限することでアレルギー症状が軽減されることが多いようです。
2.セリアック病
セリアック病はグルテンに対する遺伝性の不耐症で、グルテンを摂取する事により腸の粘膜に炎症が起こる自己免疫疾患です。
これにより栄養を吸収しにくくなり、栄養不足、体重減少、下痢、腹痛などの症状が起こります。
欧米では150人に1人発症していると言われていますが、日本人における有病率は0.05%程度と言われています。
今のところ有効な治療法はなく、症状を抑えるためにはグルテンを含まない食事を続けるしかありません。
3.グルテン過敏症(非セリアック性グルテン感受性)
グルテン過敏症は小腸がグルテンに過敏に反応して不調を起こします。
おもな不調として、胃腸の不調、倦怠感、集中力の低下、腹痛などが挙げられますが、セリアック病ほど重篤ではありません。
これらが原因の体調不良は、小麦を排除したグルテンフリーの食生活をすることで、体質の改善が期待できる場合もあります。
グルテンフリーとは、もともと欧米諸国を中心にセリアック病患者の食事療法として開発されたものなのです。
知らずに食べてしまうグルテンを含む食品とは?
グルテンはパンや麺類など小麦をメインに使った食品だけでなく、実はさまざまな加工食品にも含まれています。
そのため、気づかぬうちに摂取してしまうことがよくあります。ここではグルテンを含む食品をご紹介いたします。
ここに記載した以外にも乳化剤や増粘剤のような、とろみやモチモチ感を出す添加物としてグルテンが使われている事もあります。
パッと見分かりにくい商品にも入っているので、原材料を気にしたり、グルテンの事を意識する事で摂取は控える事ができます。
小麦の多い食生活は簡単なコツで変えられる
ここで、ちょっとした工夫で小麦の摂取を控える事ができる方法をいくつかご紹介します。
米粉など代替品を選ぶ
小麦粉を使っていない代替品を選ぶ事も健康につながるひとつの手段です。
米粉のパンやスイーツは比較的よく見かけますが、近年は玄米パスタなどグルテンフリー食品も多様化してきています。
パンやパスタがどうしても食べたい場合は、米粉などで作られた代替品を選ぶのがおすすめです。
食品表示ラベルを見るクセをつける
小麦は様々な食品に含まれているため、食品表示ラベルに記載されてる原材料の確認をした方が良いです。
原材料表示は、食品に含まれてる量が多いものから順に記載されているので、最初の方に小麦と書かれてる食品には注意です。
後ろの方に記載されている食品もあるので、見逃さないようにしっかり確認しましょう。
和食中心の生活にする
ごはん、味噌汁、煮物など昔ながらの和食は、小麦が含まれていない食材ばかりです。
私たちにとって一番身近である和食中心の生活にすると、 自然と小麦を避けた食生活になります。
小麦は嗜好品程度に
小麦製品の中でも、パンは手軽に食べれるので、主食だけじゃなく、ついつい間食で食べてしまう方も多いと思います。
しかしパンはグルテンの含有量が多く、なおかつ砂糖やバターなども材料に使っているため、血糖値も上がりやすいのです。
ラーメンやパスタも同様ですが、小麦は体にとってデメリットの方が大きいです。
健康のためにも日常的に食べる習慣を減らし、嗜好品としてたまに楽しむ程度にしていきましょう。